2021
8400×3000
記録メディア、アルミ、電球など
私は全国のリサイクル店を巡りながら、記録メディアの収集を行なっている。
記録メディアに保存されるイメージは、削除ボタンを押すだけでは完全に消去されない。見かけ上消えているが、上書きされるまでデータは残り続けるのだ。私はそれらのイメージをコンピュータで復元し、閲覧した。
SDカード一つ一つには、一人のある期間に見えていた風景が残っていた。ある者は、幼児から成人までの一人の子供を見続け、ある者はどこか遠くの国へと視野を広げていた。
SDカードの寿命は長くとも10年程と言われる。ここに並ぶカードもいずれは完全なデータの消滅を迎えるだろう。私はそれらを丁寧に保存し、一つ一つのカードに誰かの人生が残っていたことの証として金属板にキャプションを記すことにした。

2021年東京藝術大学アトラス展出展作品
Back to Top